![]() |
深夜になって、それは鏡の中から現れた。 緑色の瞳をした、氷河の命の源。 瞬――は、何故自分がここにいるのかわかっていないようだった。 氷河はためらうことなく、その名を呼んだ。 「瞬、側に来てくれ」 それが自分の名前だということも自覚できていない様子の瞬が、言われた通り、氷河の側に歩み寄ってくる。 「瞬…って、僕のことですか?」 「そうだ」 「僕、わからないの」 「今にわかる」 「そうかしら」 「ああ」 自分の目の前に立つ瞬を氷河はじっと見詰めていたが、やがて掛けていた椅子から立ち上がり、戸惑う瞬を抱きあげた。 彼の、命と情熱の源。 その命と情熱が命じるままの時を過ごすために。 |