二人がその場を離れた数刻後、裏庭のデッキの中央にある青銅のテーブルの上に、目に見えない訪問客があった。
昼の間、どこか遠い草原を駆けていたのかもしれない小さな風が、忘れられた詩集の先をぱらぱらと読み進み、最後のページに辿り付く。
夢見たものは ひとつの愛
ねがったものは ひとつの幸福
それらはすべてここに ある
風は、そのページを、今夜の休息所と定めたようだった。
Fin.
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