夕べはものすごい大雨が降りました。 でも、今朝はその雨もすっかりあがって、いいお天気。 「雨が止んで良かったね」 「うん、いいお天気で良かったね」 「今日はダンスに夢中になって大遅刻しないように気をつけようね」 「うん、気をつけようね」 メイドロボたちの心は一つです。 そして、メイドロボたちは勤労意欲に燃えています。 メイドロボたちは、ご主人様の氷河と瞬が大好きで、二人のためなら何でもしたいのです。 固い決意を胸に、ハウスのドアを開けたメイドロボたち。 ところが何ということでしょう! メイドロボハウスとご主人様たちの愛の巣の間にあるお庭には、大西洋のように大きな大きな水溜りができていたのです。
「ど…どうしよう……! 氷河様と瞬様が僕たちの出勤を待っているのに、お庭に海ができちゃった…!」 「こんな大きな海、僕たちには渡れっこないよ……」 「氷河様と瞬様が待ってるのにー !! 」 「今日も遅刻なんかしちゃったら、氷河様と瞬様、きっと僕たちのことあきれちゃうよぉー!」 「あーん、あーん、あーん、どうしよう〜 。・゚゚・(>_<)・゚゚・。」 メイドロボたちの心は一つです。 早速メイドロボたちは、みんなで心を合わせて『困っちゃった、どうしよう』ダンスを踊りました。 みんなでダンスを踊ると、暗い気持ちも吹き飛んでしまいます。 「ここで挫けちゃったら、氷河様と瞬様に顔向けができないよ!」 「そーだよ。それに、僕たちが出勤しなかったら、氷河様と瞬様が寂しがるかもしれない」 「そ……それはどうかなぁ。瞬様はともかく、氷河様は……」 「……そっか……。氷河様は瞬様がいてくれればそれでいいのかもしれないね……」 せっかくやる気満々だったのに、何ということでしょう。 氷河の日頃の言動が、メイドロボたちの心に暗い陰を落としてしまったのです。 「15号、どう思う? 氷河様はほんとは僕たちなんかいらないって思ってるかしら……」 1号に尋ねられた15号は、しばらく思慮深そうに考えていましたが、やがてぽこっ☆と顔をあげて言いました。 「氷河様には僕たちが必要なはずだよ! 瞬様は僕たちの元気な姿を見てるのが大好きだって言ってたもの。瞬様が嬉しいと氷河様も嬉しいでしょう。瞬様の幸せが氷河様の幸せだもの」 「あ、そっかー!」 「氷河様のことを、氷河様ひとりだけ見て判断しちゃいけないんだよね」 「そーだそーだ。氷河様は、瞬様と瞬様の笑顔と瞬様の幸せを食べて生きてるんだもんね」 「ピーマンは食べれないけどね」 「うんうん。でも、僕たちもピーマンは食べれないね」 「あったりまえさぁ !! 」 ――というわけで(?)、メイドロボたちは、『がんばってお勤めにゆくぞ』大作戦を決行することにしたのです。 メイドロボたちは、大西洋の岸に流れ着いた小枝を必死になって拾い集め、協力し合って、ちまちまイカダを組み始めました。 けれど、何と言っても慣れない作業。イカダはなかなか組みあがりません。 それでも、何度失敗しても、メイドロボたちは挫けないのでした。 でも、お昼を過ぎても組みあがらないイカダに、メイドロボたちが焦りを感じ始めた頃。 彼等の許に救世主が現れたのです。 それは、メイドロボたちがなかなか出勤してこないので様子を見にきた氷河その人でした。 氷河は大西洋を一跨ぎしてメイドロボハウスの前にやってくると、辺りに散らばっているイカダの残骸を見やり、溜め息混じりに小さく小さく微笑みました。 「おまえたち。瞬が待ってるぞ」 そう言って、氷河はメイドロボたちを一人ずつ大事そうに肩に乗せ、無事に氷瞬家に運んだのです。 メイドロボたちは、氷河が救出に来てくれたことに大感激。 氷瞬家に着くと、早速、ダイニングテーブルの上で、『ご主人様、助けてくれてありがとう』のダンスをご披露したのでした。 |