「わぁ、雪だ! 雪が積もってるよ!」 ある日、メイドロボたちが目を覚ますと、メイドロボハウスと氷瞬家の間の庭は一面の銀世界でした。 メイドロボたちは大喜びです。 もちろん、それは、雪だるまを作ったり、雪合戦をして遊べるからではありません。 メイドロボたちは、いつもとても勤労意欲に燃えているのです。 ですから、あんまり遊ぶことは考えないのです。 メイドロボたちは、氷河と瞬の役に立つことだけが生き甲斐なのですから。 メイドロボたちが喜んだのは、ですから、お勤めのためでした。 こんな時のためにと氷河が作っておいてくれた小さな小さなソリで出勤できることを、メイドロボたちは喜んだのです。 「わーい、ソリだ、ソリだー !! おソリに乗れるー !! 」 メイドロボたちはわいわいがやがや楽しそうに騒ぎながら、メイドロボハウスの奥から、自分の番号のついたソリを引っ張りだしてきました。 「わーい、僕がいちばん〜っっ!」 最初に滑りだしたのは3号。 メイドロボたちがソリ遊び――もとい、ソリ出勤ができるようにと氷河が作ってくれたなだらかな丘から、3号は元気よく滑りだしました。 他の14人も遅れをとってはならじと、次々に滑りだします。 ところが。 先頭を切って滑っていた3号のソリがひっくり返ってしまったから、さあ大変。 3号の転倒に巻き込まれた後続のメイドロボたちのソリも、次々にひっくり返ってしまったのです。 中には、ソリから放り出されて、雪の坂をころころ下まで転がって雪だるまのようになってしまったメイドロボもいました。 けれど、こんなことで挫けるメイドロボではありません。 なにしろ、メイドロボたちは勤労意欲に燃えているのです。 どんなことがあっても必ず、ソリに乗って、ご主人様の愛の巣まで出勤しなければならないのです。 氷瞬家のドアの前まで転がり落ちてしまったメイドロボは、泣き言ひとつ言わずに立ち上がり、えっちらおっちら自分のソリのあるところまで坂道を登って戻ると、『雪は僕等の友達だから』ダンスをして、再びソリ出勤の冒険に挑むのでした。 |