メイドロボたちの不安




ざっざっざっざっざっざっざっざっ★ 

礼儀正しい氷の国星の小人たちの足踏みは続いています。
氷の国星の小人たちは、メイドロボたちの誘導を、足踏みしながら待っているのです。

『早く案内してくれ』なんて図々しいことは、もちろん、氷の国星の小人は口にしません。
なんたって、氷の国星の小人たちは礼儀正しい小人たちですからね。


「メイドロボちゃんたち、小人さんたちを洗面所に案内してあげて」
地球側の人間がいつまでもあっけにとられていたのでは、氷の国星の小人たちが足踏みのしすぎで筋肉痛になる危険があります。
その危険に気付いた瞬は、なんとか根性で我に返ると、メイドロボたちに言いました。

「は……はい。では、皆さん、僕について来てください……」
氷の国星の小人たちの軍隊並みの規律と礼儀正しさにおどおどしながら、メイドロボの一人が洗面所への案内に立ちます。

「了解っ!」× 15
びしっ★ と全員揃って敬礼をすると、リーダー(どうやら持ちまわり制らしい)の号令一下、いよいよ氷の国星の小人たちは行動開始です。

「出発進行〜! 1、2、3」
「前〜進めっ、よ〜い──」
「ど」

「ちょっと待て!」

何ということでしょう。
長い足踏みもこれで終わり、ついに洗面所に向けて行軍スタート! と意気込んだ氷の国星の小人たちに、突然、氷河から、前進中止命令が入ってしまったのです。

「わ〜〜っっ、ストップー!」
「とまれ〜っっ !! 」
「わわわわわわわわ〜っっ !!!! 」× 15

注意一秒ケガ一生。飛び出すな、小人は急に止まれない。
氷河の緊急停止命令を受けた氷の国星の小人たちは、急ブレーキをかけた弾みで、とてててててて〜っ☆ と、ドミノ式に重なりあって倒れてしまいました。

「こ……小人さんたち、大丈夫っ !? 」

瞬が、倒れたドミノ状態の小人たちに声をかけますと、今回のリーダーがむくりとその場に起き上がり、仲間たちに指令を飛ばします。

「隊列変更! 一列横隊―!」
「ラジャー!」
「位置につけ!」
「よ〜い、どん!」

リーダーの掛け声一発、身のこなし素早く、電光石火の早業で、次の瞬間には、氷の国星の小人たちは、それは綺麗な一列横隊を作っていました。
転んでも泣かない、そして、転んでも転んだままでいないあたり、氷の国星の小人たちは、なかなか立派な心掛けの小人たちです。

「わぁ、すごいね」
「鮮やかなもんだな」
「おおお〜〜!」× 15


氷河と瞬とメイドロボたちの感心する様子に氷の国星の小人たちは得意満面。
ぴんと胸を張りました。







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