「ぉうわあぁぁぁぁーっっ !? 」 ──と、氷河は大声で叫びたかったのですが、それは、 「うわぁぁぁぁ〜ん、氷河には言わないで、言わないで、内緒にしてーっっ !!!! 」 ――という、氷の国星の合体瞬の号泣に阻まれてしまいました。 「怒られちゃう、怒られちゃう、氷河、怒ると恐いのーっっ !! 」 「一晩中、お仕置きなのーっっ !! 」 「こんなことはしたくないんだが……って、悲しそうなのーっっ !! 」 「僕は気持ちいいんだけど、氷河が悲しそうなの、嫌なのーっっ !! 」 「僕、いい子でいなきゃならないのーっっ !! 」 「わざと悪い子になって、お仕置きしてもらって、お願いきいてもらうのは、時々にしようって決めてるのーっっ !! 」 「それだって、結晶クッキーをおねだりする時とか、『いただきます』の言い忘れを許してもらう時ぐらいにしかしたことないのに、こんな……こんな………」 「うわあぁぁぁぁぁ〜んっっ !!!!!!」 身体は一つなのに、小人モードでセリフを連発する合体瞬よりも、そのセリフから想定できる氷の国星の氷河像に、地球の氷河はあきれ顔です。 「どーゆー氷河だ、それは……」 「うん……。僕、てっきり、氷の国星の氷河さんは、すごく理性的で躾の厳しい氷河さんなんだと思ってたのに……」 「単なる普通の氷河じゃないか」 「でも、ちょっとシチュエーションに凝るタイプなのかも」 「今夜、真似してみるか、お仕置きシチュエーション」 「面白そうだね」 意外に乗り気の瞬に気をよくした氷河が、その手を瞬の肩に伸ばしかけるのを、メイドロボたちが遮ります。 「氷河様、瞬様、今夜のことなんか相談してる場合じゃありません」 「氷の国星の合体瞬ちゃん、泣いてますよ!」 「パンケーキもからっからになってます」 パンケーキは、からっからっになっても焦げつきません。 焦げないフライパンを使っているからです。 「わっ、大変! 氷河、僕、パンケーキ焼くから、合体瞬ちゃんをどうにかしてあげて」 「どーにか…って、こういう時は普通、瞬の方が……」 いくら何でも、どこの家の氷河でも、自分の瞬の前で役得しようなんてことは考えたりはしないでしょう。 瞬からの指令を受けて、氷河は少々――否、かなり――困ってしまいました。 |