喜びの涙を流し、そして、拭いながら、爽快な目覚めの時を迎えた氷の国星の小人たちに、メイドロボたちは口々に訴えました。

「氷の国星の小人さんたち、大変なの!」
「アフリカで初雪なの!」
「オーストラリアでコアラがらぶらぶなの!」
「南極でペンギンさんたちがリオのカーニバルしてるの!」
「北極熊さんとキタキツネさんが浮かれちゃってるの!」
「昼間なのに、暗くなって」
「洗濯物とお布団は無事だったの」
「おっきな宇宙船が攻めて来ちゃったんだよー !! 」

「え?」
「宇宙船?」

メイドロボたちに泣きつかれた氷の国星の小人たちは、ベッドから飛びりると、メイドロボハウスの窓から空を見上げました。
もちろん、そこには、あの、半径50キロもある巨大宇宙船が浮かんでいます。

けれど、それは氷の国星の小人たちには実に見慣れたものでした。
ですから、彼等は驚きも慌てもしませんでした。

「あ、氷河の自家用機だ」
「氷河ったら、いちばん大きなのに乗って迎えにきてくれたんだ」

「大型宇宙船の免許って、とるのが難しいんだよね〜」
「僕たちの氷河はお利口だから、一発合格したけどね」
「そりゃあ、僕たちの氷河だもんね〜vvv」

氷の国星の小人たちの話を聞いて、メイドロボたちは大感心。
「やっぱり、あれは氷の国星の氷河さんの宇宙船なんだ」
「すごいね、大きい宇宙船だね」
「あんなの運転できるなんて、氷の国星の氷河さんは偉いんだね」

氷の国星の小人たちは、自分たちが誉められるのの百倍も、自分たちの氷河が誉められるのが大好きでした。
なので、えっへんと胸を張って、大威張りです。

「あの宇宙船には、反射衛星サンダーアタック砲が積まれてるの」
「星の周りに鏡を配置して、星に大雪や雹を降らせたりできるんだよね」
「僕たちの星はお陽様に近いから、そうやって涼しくするんだ」
「氷河のおかげで、氷の国星はいつも快適なんだよ」
「フツーの星に反射衛星サンダーアタック砲を打ったら、すぐ氷河期になっちゃうけどね」
「僕たちが危険な目に合わない限り、僕たちの氷河はそんなことしないもんね〜」

今、地球は氷河期に突入しかけています。

「…………あれ?」× 15
自分たちの氷河のことを散々自慢してからやっと、氷の国星の小人たちはメイドロボたちの話を思い出したのでした。


そこに、突然、窓の外から声が降ってきます。

「そういうことか……」
「あ、氷河様!」

「氷の国星の氷河さん、地球で氷の国星の小人さんたちが危険な目に合ってるって誤解しちゃったんだね」
「瞬様も!」

メイドロボたちがいつまで経っても帰ってこないので、氷河と瞬は、メイドロボたちと氷の国星の小人たちを迎えにやって来たのです。


「いいから、家に来い、おまえたち」

瞬がメイドロボたちを、氷河が氷の国星の小人たちを抱えて、母屋の方に戻ってくると、スイッチを入れっぱなしにしていた居間のテレビに、どこかで見たような顔が、どアップで映っていました。







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