「わーい、氷河だーっっ!」 「僕たちを救助に来てくれたんだー!」 テレビ画面の中に、自分たちの氷河のどアップを見つけ出した氷の国星の小人たちは、大喜びです。 氷の国星の小人たちは、氷河の腕の中で万歳三唱を始めてしまいました。 けれど、これは、喜んでいられる事態ではなかったのです。 画面の中の氷の国星の氷河は、冷え切った口調で語りだしました。 『俺は氷の国星の氷河。太陽系第3惑星の愚か者たちに告ぐ。おまえたちが、俺の小人たちから迷子札を取りあげて、どこかに監禁していることはわかっている。おまえたちにできることは、すみやかに俺に降伏して、俺の可愛い小人たちを俺のもとに返すことだけだ。さもなくば、次は、オーロラ波動砲をお見舞いして、この星を永久氷星にする。いいか、これは脅しではない。俺はすぐに実行する』 画面の中の氷の国星の氷河は、氷の国星の小人たちでさえ見たことがないほどに、険しい顔をしていました。 瞳の青色は、冷酷な冷めた色。 きらきら輝く金髪も、逆立っていないのが不思議なくらいです。 氷の国星の小人たちがどんなおいたをした時にだって、氷の国星の氷河がこんな恐い顔になったことはありませんでした。 「氷河……!」× 15 氷の国星の小人たちは、彼等の氷河の戦線布告に大慌てです。 地球を永久氷星にされてしまったら、せっかく巡りあえたおいしいプリンやパンケーキを二度と食べることができなくなるのです。 「ど…どうしよう……」 「どーしたらいいの?」 泣きそうな顔になった氷の国星の小人たちに、地球の氷河は尋ねました。 「おまえたちが無事でいることを、氷の国星の氷河に伝えることはできないのか?」 「氷河から貰ったエンゲージリングを使えば、宇宙船と交信はできるけど……」 「けど、何なの?」 半べそをかいている氷の国星の小人たちに、瞬が意識して優しく尋ねます。 「あの宇宙船はとっても大きくて、第一通信室から、第一艦橋まで、10キロもあるの……」 「氷河が今、こうやってこの星のテレビに映っているってことは、氷河は今、第一艦橋にいるんだと思うの」 「僕たちがエンゲージリングで連絡を入れても、それを受信できる装置があるのは第一通信室だけで……」 「氷河は、僕たちからの連絡に気付くより先に、オーロラ波動砲のスイッチを押しちゃうかもしれない……」 「そんな……」 何ということでしょう。 氷の国星の小人たちの説明を聞いて、瞬は言葉を失ってしまいました。 地球の氷河も、今回ばかりは、さすがに頬が青ざめています。 地球と氷の国星。 昨日まで、かけらほどの敵意も抱き合っていなかった二つの星の間に横たわる、巨大な誤解と、人類滅亡の危機。 地球はこのまま、永久氷星になってしまうのでしょうか。 地球上の生物はみんな風邪をひくのでしょうか。 そして、せっかく上手にできた、氷河と瞬のベッドメーキングは無駄になってしまうのでしょうか? 波乱の予感いっぱいで、お話は、またまた次回に続きます──。 |