氷河は、氷の国星の小人たちを見詰めながら、しばらく考え込み、それから意を決したように口を開きました。

「無理を承知で言うが……。おまえたち、もう1度合体してくれないか」
「え? でも……」

そんなことをしたら、小人たちは氷の国星の氷河の言いつけを2回も破ることになります。
“リッパないい子”がしていいことではありません。

「俺は、目を閉じていて、絶対見たりしないから」
「…………」× 15

氷河が何を考えて、そんなことを言い出したのか、実は氷の国星の小人たちには思い当たることがありました。

「……そういえば、前にスノーフレーク山で迷子になったときのこと憶えてる?」
「うん、移動距離を稼ごうと思って合体したら、すぐに氷河が駆けつけてきてくれたことがあったよね」
「あの時はびっくりしたよねー」
「うんうん。氷河の愛を感じたよねー」

氷の国星の小人たちの言葉に、氷河は深く頷きました。
「いついかなる状況下でも、××対象の瞬を探し出し手を差し伸べるのが、俺たち氷河のたしなみというものだ」

とんでもないたしなみです。

「でも、そんなことしたら、今日2回目の合体になるよ」
「満点になる前って、2回目の合体からは、ポイントが200点ずつ引かれていくんだよね……」
「赤字になっちゃうね……」

その前に命がなくなります。
でも、何度も繰り返しますが、価値観というのは、人それぞれ違うものですからね。







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