価値観と価値観の狭間で苦悩する氷の国星の小人たち。

瞬は、優雅に苦悩している時間が自分たちにどれくらい残されているのかが、気になっていました。
「ところで、小人さんたち。オーロラ波動砲発射までのタイムリミットってどれくらいなの?」

「えーと……。波動エンジン始動からエネルギー充填120%までが3分弱」
「対ショック・対閃光防御に1分」
「カウントダウンを含めて、発射するまで5分弱くらいかな」

「あの放送から、何分経った?」

その場に、瞬の質問に答えられる者は誰一人いませんでした。
計算ができなかったからではありません。
考えるのが恐ろしかったのです。
つまり、地球側には、ほとんど時間は残されていなかったんです。


「氷の国星の小人さんたち、お願い……! もし地球が永久氷星になったら、もうきっと、どこのお菓子メーカーも美味しいアイスクリームやアイスキャンディを作れなくなるよ! フラッペやパフェも、きっと姿を消してしまうよ!」

瞬の必死の説得に、氷の国星の小人たちは敏感かつ迅速に反応しました。

「アイスクリームにアイスキャンディ……」
「フラッペにパフェ……」
「美味しそうな語感……。きっとお菓子のことなんだ」
「そうだよ、地球の美味しいデザートの事だよ!」

事この場にいたってやっと、氷の国星の小人たちには、事態の重大性がわかってきたのです。


「地球の美味しいお菓子が絶滅しちゃったら大変!」
「みんな! 迷ってる暇はないよ!」
「掟破りの合体がなんだ! 失ったポイントはまた溜めればいいけど、消滅したお菓子は戻ってこない!」

たとえ違う星に生まれた者同士でも、努力を怠りさえしなければ、理解し合うことはきっとできるに違いありません。
少なくとも、氷の国星の小人たちの価値観を、地球の瞬はきっちり掴めていました。


「ありがとう、小人さんたち!」
「もう、時間がない! みんな俺につかまれ。屋根に登るぞ!」







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