楽しい時は、けれど、あっと言う間に過ぎ去ります。

たれたれ瞬ちゃんに毎日美味しいケーキを作ってもらい、夜はみんなで(除く 氷の国の氷河)仲良くお話しながら眠り、ダンスをしたり、雪遊びをしたりしながら過ごしているうちに、たれたれ瞬ちゃんとたれたれ氷河さんが氷の国から帰る日が来てしまったのです。


「1号ちゃん、2号ちゃん、3号ちゃん、4号ちゃん、5号ちゃん、6号ちゃん、7号ちゃん、8号ちゃん、9号ちゃん、10号ちゃん、11号ちゃん、12号ちゃん、13号ちゃん、14号ちゃん、15号ちゃん……」
氷の国の氷瞬城の門前で、たれたれ瞬ちゃんは、綺麗な瞳に涙を浮かべて小人たちの名前を呼びました。

「た…たれたれ瞬ちゃん……!」 × 15
小人たちの小さな瞳も涙でいっぱいです。

「ちゃんと『さようなら』って言うんだぞ」
小人たちは、氷の国の氷河にそう言われていたのですが、ちゃんと『さよなら』なんて言えるはずありません。

「やだー、たれたれ瞬ちゃん、帰らないでーっっ !! 」
「帰っちゃやだー!」
「たれたれ瞬ちゃんが帰っちゃったら、僕たち寂しくて泣いちゃうー!」
「たれたれ瞬ちゃんのケーキも食べられなくなっちゃうー!」
「一緒におねんねできなくなっちゃうー!」
「やだやだやだー !! 」

「あーん、あーん、あーん 。・゚゚・(>_<)・゚゚・。 !!!! 」 × 15

小人たちは全員がたれたれ瞬ちゃんの腕や肩や髪にしがみついて、涙涙の大合唱です。

「小人さんたち…僕だって……」
小人たちだけではありません。
たれたれ瞬ちゃんまでが、
「ずっと小人さんたちといるー !! 」
と、大粒の涙を零しながら大声で泣き出してしまったのです。


これには、たれたれ氷河さんも氷の国の氷河も大弱り。

懸命に瞬たちをなだめて、慰めて、
氷の国の氷河は、小人たちの頭を撫でながら、たれたれ瞬ちゃんから小人たちを一人ずつ引きはがし、
たれたれ氷河さんは、しゃくりあげているたれたれ瞬ちゃんを抱きしめて、言ったのです。

「もう会えないわけじゃないんだから、そんなに泣くな」 × 2

全然タイプが違うくせに、慰めの言葉だけは一緒。


視線で無言の挨拶をして、二人の氷河は、自分の瞬(たち)をなんとかその腕の中に取り戻したのでした。