そこに、一列縦隊で泣きながら飛び込んできたのは、言わずと知れた氷の国の小人たちです。

「あーん、あーん、あーん !! 」× 15

「こ…小人さんたち、いったいどうしたの !? 」
「たれたれ瞬ちゃーん !! 」× 15

泣きながら、たれたれ瞬ちゃんのところに駆けてきた小人たち。
いつも明るく元気な小人たちのほっぺが涙でぐしょぐしょなのに驚いたたれたれ瞬ちゃんは、
「小人さんたち、何があったのかは知らないけど、これあげるから元気出して。小人さんたちのために焼いたんだよ」
そう言いながら、小人たちに数字クッキーをひとつひとつ手渡しました。

焼きあがったばかりの数字クッキーは、とってもとっても甘い匂い。

「わぁ! たれたれ瞬ちゃんの焼いたクッキーだーっっ !! 」× 15

自分の番号の数字クッキーを貰った小人たちは、甘くふんわりした匂いに包まれて、途端に急浮上&上機嫌です。

「うーん、いい匂い〜D」
「うふふふふ。僕の番号のクッキーだよ♪」

クッキーを抱きしめて、にこにこしだした小人さんたちに、たれたれ瞬ちゃんも一安心です。

「気に入った? 氷の国の氷河さんに見せてきたら? きっともっと元気になるよ」

小人たちの涙の訳を知らないたれたれ瞬ちゃんは、にっこり笑って小人たちに提案しました。
が、すっかり数字クッキーに浮かれてしまった小人たちも、氷河×氷河の恐怖をあっさり忘れてしまっていましたから、たれたれ瞬ちゃんの提案に大賛成。


小人たちは、早速、氷の国の氷河のところに逆戻りです。



「氷河―っっ、見て見てー! たれたれ瞬ちゃんにもらっちゃったー!」
「僕たちの番号のクッキーだよー!」

「いい匂い〜」
「甘い匂い〜」
「食べるのもったいないよぉ〜 !! 」


氷河×氷河の恐怖を、小人たちは、数字クッキーのせいですっかり綺麗に忘れてしまっていました。

「そ……そーかそーか、それはよかったな」

小人たちの誤解を解くにはどうしたらいいのかと、苦悩懊悩しまくっていた氷の国の氷河は、どうやら小人たちが、数字クッキーの甘い匂いせいで、氷河×氷河の誤解をすっかり忘れてしまっていることを知って呆然としてしまいました。

誤解は誤解でしかないのですから、小人たちが氷河×氷河の誤解を忘れてくれたことは、とてもいいことです。
でも、それが数字クッキーのおかげだなんて。
自分の熱い眼差しが数字クッキーにも劣るものだということを思い知らされて、氷の国の氷河は、何となく、どよどよどよ〜ん★

(いいことなんだ、これは。誤解が解けたんだから、いいことなんだ、きっと)

必死になって自分を慰める氷の国の氷河は、やはり哀しい男を極めているのでした。