その頃、氷の国の氷河の哀しい涙を知らない小人たちは、元気に、たれたれ瞬ちゃんとたれたれ氷河さんの寝室のドアを開けて、夜のご挨拶をしていました。

「たれたれ瞬ちゃーん、たれたれ氷河さーん、一緒におねんねしましょー♪」

「……こ…小人さんたち !? 」
「…………」

たれたれ瞬ちゃんとたれたれ氷河さんは、ちょうど、楽しい毎晩の日課を開始しようとしていたところでした。
そこに突然のお客様。

たれたれ瞬ちゃんは瞳を見開いて、無口でクールでセクシーなたれたれ氷河さんは、無口&クール&セクシーに、突然の夜の闖入者に驚きました。

たれたれさん宅に遊びに来てから数日が経っていましたが、これまで、小人たちは、夜はいつも氷の国の氷河と同じ寝室で眠っていました。
なにしろ、たれたれさん宅に来てからというもの、たれたれ瞬ちゃんのお菓子作りの見学をしては歓声をあげ、たれたれ瞬ちゃんのおやつを食べては喜びのダンスを踊っていた小人たちは、おねむの時刻にはすっかりくたくた。

氷の国の氷河が、ダンスを踊り疲れてテーブルの上で眠りこけている小人たちをかき集め、借りている客用寝室へと引っ込む――そんな毎日だったのです。

それが、今夜は──。

ベッドの上で、無口&クール&セクシーに驚いているたれたれ氷河さんと、たれたれ瞬ちゃんの間に、てててててっ☆ とあがり込んだ小人たちは、
||||||||||||||| の字状態でお座りです。
そして、大事な数字クッキーを抱きしめると、××の出鼻を挫かれてあっけにとられているたれたれ瞬ちゃんとたれたれ氷河さんに、いたずらっぽい笑顔を向けました。

「えへへへへ〜。僕たちの氷河と一緒だと、おねんねする前に甘いもの食べちゃいけませんて言われちゃうから」
「やっぱり、こんな素敵なものは、おねむの直前に食べなくちゃね」
「それじゃあ、さっそく」
「いただきまー」

「ちょっと待て!」

小人たちの『いただきまーす』と、それに続く『あむっ☆』は、たれたれ氷河さんの制止のせいで、見事に空振りしてしまいました。

「えっ?」

驚いた小人たちが、急に大声をあげたたれたれ氷河さんの顔を見上げますと、たれたれ氷河さんは、クール&セクシー&唐突に、小人たちに尋ねてきたのです。