「おまえたち、変だとは思わないのか」
「な…何が?」

「1号、おまえ、ビスケットを何個持ってる?」
「1番のを1個」
「2号は?」
「2番のを1個」
「3号は?」
「3番のを1個」
「4号は?」
「4番のを1個」
「5号は?」
「5番のを1個」
「6号は?」
「6番のを1個」
「7号は?」
「7番のを1個」
「8号は?」
「8番のを1個」
「9号は?」
「9番のを1個」
「10号は?」
「1番と0番で2個」
「11号は?」
「1番と1番で2個」
「12号は?」
「1番と2番で2個」
「13号は?」
「1番と3番で2個」
「14号は?」
「1番と4番で2個」
「15号は?」
「1番と5番で2個」

「不公平だな」
「うん……」×9

たれたれさんの言う『変なこと』の意味を理解するや、1桁台の小人たちの顔はどんよりと曇ってしまいました。

何という不公平でしょう。
どうして、こんな不公平に今まで気付かずにいたのでしょうか。

暗い表情になってしまった小人たちに、けれど、たれたれ氷河さんは素晴らしい解決策を伝授してくれたのです。

「これを全員が2個食べれるようにするいい方法があるんだ」

「えっ、どうするの?」

たれたれ瞬ちゃんとたれたれ氷河さんのベッドのサイドテーブルの上には、たれたれ瞬ちゃんが夜のおやつ用にと準備していた数字クッキーの入った小さなバスケットが置いてありました。
そこから、0番のクッキーを1個つまむと、たれたれ氷河さんは、セクシー&クールに、それを1号に手渡したのです。

「僕、10号じゃないよ?」
「これは、10番じゃなく、01番なんだ」
「2号は02番」
「3号は03番」
「以下、9号まで、以下同文。これで全員が2個食べられるな」

「おおおおおおおっ !!!! 」× 15

何という奇跡でしょう!
小人たちは、驚嘆の声をあげました。

「これは、パソコンなんかでファイルの並べ替えをする時にも注意しなければならないことなんだ。FILE2とFILE10だと、FILE10の方が大きいのに、パソコンは名前の5桁目の2と1を比べて、おかしな並べ方をしてしまう。つまり、FILE1からFILE15を並べ替えしようとすると、パソコンは、
  FILE1
  FILE10
  FILE11
  FILE12
  FILE13
  FILE14
  FILE15
  FILE2
  FILE3
  FILE4
  FILE5
  FILE6
  FILE7
  FILE8
  FILE9
と並べてしまうんだな」

「うんうん」× 15

「しかし、このファイル名の数字の部分の桁を2桁に揃えれば、
  FILE01
  FILE02
  FILE03
  FILE04
  FILE05
  FILE06
  FILE07
  FILE08
  FILE09
  FILE10
  FILE11
  FILE12
  FILE13
  FILE14
  FILE15
となって、綺麗に並ぶ」

「おおおおおおっ !!!! 」× 15

小人たちの可愛くて小さな目からは、大きなウロコがぽろぽろ落ちまくりでした。
数字の桁を揃えるということは、なんて素晴らしいことなんでしょう。
ファイルを綺麗に並べることができ、しかも、不公平もなくなるなんて!

小人たちは、『桁を揃える』ということに、すっかり感動してしまいました。
先生も、カッコよかったですしね。