「わかったか?」
クール&セクシーなたれたれ氷河先生に確認されて、

「はーい!」× 15
小人たちは良い子のお返事です。

「よし、じゃあ、1号から9号までは、0番を1個ずつ取って」
「取りましたー !! 」× 15
「これで不公平じゃなくなったな」

「うん。みんな2個ずつだね」
「よかったね」
「うんうん。ほんとによかったね」
「僕たち、お利口になっちゃった♪」

新しい知識──それも、生活に密着していて、日常生活にとても役に立ちそうな知識──を得られるということは、本当に気持ちのいいことです。
これからの人生が、これまでよりずっとうまく進んでいくような気分になります。
ひとつお利口になった小人たちは、2個の数字クッキーを抱えて、ほっぺをバラ色に輝かせました。

その様子をクール&セクシーに見詰めていたたれたれ氷河さんは、ふと思いついたように、小人たちに提案してきたのです。

「おまえたち、せっかくお利口になったんだから、このことをおまえたちの氷河にも教えてやったらどうだ? きっとたくさん褒めてくれるぞ」

「え?」

たれたれ氷河さんの提案は素敵でした。

「氷河が」
「たくさん」
「僕たちを」
「褒めてくれる?」

氷の国の氷河に褒めてもらっているシーンを思い浮かべた途端に、小人たちは全員そわそわし始めました。
新しい何かを覚えるってことは、それだけでも随分楽しいことですが、自分たちが楽しいことで、誰かに褒めてもらえるなんて、それはもっとずっと楽しいことです。
褒めてくれる氷の国の氷河だって、嬉しくて楽しいから褒めてくれるんですからね。

小人たちは、自分たちを褒めてくれる氷の国の氷河の笑顔を想像するだけで、うっとり状態でした。

小人たちは、いつも自分自身に正直です。
欲しいものを手に入れるために、小人たちは、その行動力を発揮するのです。

「よし、みんな、行こう!」
「僕たちがお利口になったことを、氷河に教えてあげなくちゃ!」
「それで、氷河に、たくさんたくさん褒めてもらうんだ!」

「おーっっ !! 」× 15

思い立ったが吉日と、俗に言います。
たれたれ氷河さんとたれたれ瞬ちゃんの間で威勢良く『えいえいおー』をした小人たちは、自分たちの決定を二人に伝えました。

「じゃあ、たれたれ瞬ちゃん、たれたれ氷河さん、僕たち、僕たちの氷河のとこに行くことにするね」

「ああ。おまえたちの氷河に一晩中褒めてもらってこい」
「はーい !! 」× 15

クール&セクシーなたれたれ氷河さんは、疾風のようにやって来て、疾風のように去っていく小人たちの非礼を責めもせず、小人たちに優しい笑顔さえ見せてくれたのでした。