てってってってっ☆ と一列縦隊で廊下に出ていく小人たちの姿を見送っていたたれたれ氷河さんは、その最後の小人の姿が見えなくなると、ほっと溜め息を洩らしました。

「氷河……」

鮮やかな手並みで、小人たちを氷の国の氷河の許にUターンさせてしまったたれたれ氷河さんを、たれたれ瞬ちゃんが複雑な面持ちで見詰めています。
なんだか、小人たちを騙したような気がして、たれたれ瞬ちゃんは、ちょっと気が咎めていたのでした。

「まあ、邪魔されたくないからな」
たれたれ氷河さんも、少し気まずそうにしていました。
けれど、たれたれ氷河さんは、たれたれ瞬ちゃんとの愛の一夜を数字クッキーに妨げられてしまいたくはなかったのです。
それはもちろん、自分自身のためでしたが、それ以上にたれたれ瞬ちゃんのためでした。

そして、たれたれ瞬ちゃんには、たれたれ氷河さんの気持ちがちゃんとわかっていました。

「きっと、氷の国の氷河さんは小人さんたちがいなくて寂しい思いをしてただろうし、小人さんたちも氷の国の氷河さんにたくさん褒めてもらえるんだから、氷河はいいことしたんだよ」
「…………」

たれたれ氷河さんが無口でいられるのは、彼の大切な人が、言葉にしなくても自分の気持ちをわかってくれるたれたれ瞬ちゃんだからなのかもしれません。

「きっとそうだよ。ねっ」

たれたれ氷河さんは、たれたれ瞬ちゃんの笑顔を抱きしめて、そして、その夜も無事に仲良しこよししたのでした。