「へ?」
氷の国の氷河は最初、小人たちの身に何が起こったのかがわかりませんでした。
そして、何が起こったのかを理解した途端、氷の国の氷河はへなへなとその場にへたりこんでしまったのです。

氷の国の氷河の命であり、氷の国の氷河の生きている理由であり、氷の国の氷河の愛のすべてである、大切な可愛い小人たち。
その可愛い小人たちが、どこへともなく飛ばされてしまったのです。
氷の国の氷河のショックは、それはそれは大きなものでした。
氷の国の氷河は、すぐには立ち上がることさえできなかったのです。

けれど、愛する小人たちを見失ってしまったからといって、氷の国の氷河は、いつまでも60階の窓の外で、ぶらぶらしているわけにはいきませんでした。
いいえ、愛する小人たちを見失ってしまったからこそ、氷の国の氷河は、いつまでも60階の窓の外で、ぶらぶらしているわけにはいかなかったのです。

小人たちのために、そして、自分自身が生きていくために、氷の国の氷河は、彼の命であり、彼の生きている理由であり、彼の愛のすべてである大切な可愛い小人たちを取り戻さなければなりませんでした。



そういうわけで。
氷の国の氷河の、小人たちを捜し求める辛く長い放浪の旅が始まったのでした。






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