「まず、お客さんたちは、お菓子がいかに大事なものなのかを認識しなきゃならない」

9号は、溶けたチョコレートに刺さっていたプラスチック製のツマヨウジを教鞭代わりに手に取ると、お客さんたちに向かって言いました。

「小人しゃ〜ん、にんちきってなぁに〜?」
「物事の本質を見極めて、他のものとちゃんと区別することだよ」

「もにょごとのほんしちゅってなぁに?」
「お菓子がすっごくおいしいってことだよ! ご飯より、おそばより、おうどんより!」

「おおおおおおっ !! 」× 子供たちの数

9号のとってもわかりやすい説明に、お客さんたちはどよめきました。
お客さんたちは、9号の言葉を根本から完全完璧に理解し、そして、共感したのです。


「おそばものびたらおいしくない。お菓子にも食べ頃ってものがあるんだ! ご飯より、おそばより、お菓子はデリケートなんだから!」

「小人しゃん、じぇりけーとってなぁに?」
「ゼリーは放っておくと溶けちゃうってことだよ! 決まってるでしょ!」

「おおおおおおーっっ !! 」× 子供たちの数
わかりすぎるほどよくわかる9号の説明に、お客さんたちのどよめきは、ますます大きなものになっていきます。

「だから、氷河の面白くもないダジャレなんて聞いている暇があったら!」

「(ずきっ)」(←氷の国の氷河のココロが痛む音)

「氷河のくだらないダジャレのせいで、アイスクリームが溶ける前に!」

「(ぐさっ)」(←氷の国の氷河のココロにナイフが突き刺さった音)

「食べなきゃダメなんだよ、一心不乱に! 氷河のことなんか忘れてっ! それがおいしいおやつに対する誠意ってもんなんだからっ !! 」

「ああああああっっっ !! 」× 子供たちの数


真実の持つ力というものは、強いものです。
まして、真実に愛の力が加わったら、それに勝る力など、この世に存在するはずがありません。

おやつの価値を認め、おやつを心から愛する9号の愛と真実の叫びは、人の世の酸いも甘いも知り尽くした(?)お客さんたちの心を改心させるのに十分な力を持っていました。

「小人しゃん、ごめんなちゃいっ! わたちたちがいけませんでしたっ!」
「小人しゃん、許ちてっ!」

「僕に謝ったってダメなのっ! おやつに謝らなくちゃ!」

「あああああ、アイチュクリームちゃん、ごめんなちゃいっ!」
「チョコレートちゃん、ゆるちてー!」
「わたちたち……わたちたち……」

「あーん、あーん、あーんっっ !!!! 」× お客さんの数


そうして、9号の特別講義が終わった時。
ひよこ組のお部屋は、心から反省したお客さんたちの泣き声でいっぱいになっていたのでした。



「(しくしくしく)」
全くの別次元で泣いているオトナも約一名いましたが、それはこの際、無視しましょう。






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