「ところで、はんどぱわ〜の修行って、どこでするんだろうね」
「どこだろうね」
「お菓子の国なんじゃない?」
「お菓子の国って、どこにあるの?」
「僕、知らない……」
「僕も知らない」
「知ってたら、とっくに飛んで行ってるよね、お菓子の国」
「だよね〜」× 15

どうやら、小人たちの中で、氷の国の氷河がハンドパワー獲得のための修行をすることは、既に決定事項になっているようです。

「でも、それじゃあ、氷河はどこで厳しい修行をするの?」
「うーん。氷河はどこで辛く厳しい修行をするんだろう」
「どこで、辛く厳しく恐ろしい修行をするんだろう」
「それはやっぱり」
「それはやっぱり?」

『やっぱり』の先を言葉にしたのは、やっぱり9号でした。
「ミスターまりっこに聞いてみよう!」

「おおおおおおっ! さすが、9号、あったまいい!」

「お菓子の国はわからなくても」
「ミスターまりっこのいる場所ならわかるよね」
「ショートケーキのあるところだよ」
「デコレーションケーキのあるところだよ」
「天に向かってそびえたつウェディングケーキのあるところだ!」
「よし、飛ぼう!」
「時空を越えて、いざ、ミスターまりっこのところへ!」
「おーっっ !! 」× 15


「お…おまえたち、ちょっと待て!」
辛く厳しく恐ろしい修行に挑む当の本人を無視して、話はどんどん進んでいきます。

氷の国の氷河があたあたおたおたしながら、小人たちを引き止めようとした時にはもう、手をつなぎ、輪になってダンスを踊り出した小人たちはトランス状態に入っていました。

やがて、その時がやってきて、小人たちの姿は、氷の国の小人さんリビングセットの前から忽然と消えてしまいました。
小人たちは時空を超えたのです。


「おまえたちーっ !! 」

小人たちが時空を越えると、氷の国の氷河にもまた時空を越える力がどこからともなく湧いてきます。

小人たちはお菓子を求め、氷の国の氷河は小人たちを求めて、連鎖反応のように、氷の国の住人たちの姿は、氷の国から消えてしまったのでした。






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