そうです。
氷の国の氷河は、小人たちのおなかの中に消えていった巨大ケーキのことを、すっかり忘れていたのです。

けれど、番組のプロデューサーさんには、それは、忘れたくても忘れられるものではありませんでした。
「おいおいおいおい、ちょっと待て! 貴様、食ったケーキをどうするつもりだ !? 帰るんなら、あのケーキを元に戻してから帰ってもらおうじゃないか!」

「すすすすすすみません〜〜 !! ケーキの代金は、後で必ずお返ししますので、許してやってください〜」

がなりたてるプロデューサーさんの前で、氷の国の氷河は平身低頭、米搗きバッタみたいにぺこぺこぺこ。
ま、氷の国の氷河がちょっとくらい気が大きくなったとしても、所詮はこの程度。
これが妥当な展開でしょう。

「問題は金じゃないんだよ! あれは今日の収録に使うものだったんだ! もう代替品を用意する時間はない! この始末をどうつけてくれるんだっ!」

「申し訳ありません〜〜〜っっ !! 」
「責任をとれーー !!!! 」

氷の国の氷河も半べそ状態でしたが、プロデューサーさんだって、本当は怒鳴るより泣きたい気分だったことでしょう。
番組の収録予定時刻は刻一刻と迫り、収録スタジオでは既に大勢の観客が席について、ショーの始まりを今か今かと待っているのです。


これはまさに、氷の国の氷河の日課になりつつある、一世一代の大ピーンチ! でした。






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