その頃、氷の国の氷河は、石の国までの遠い道のりをヒッチハイクで乗りきろうとして、氷の国の道端で引きつった笑みを浮かべつつ、車が通るのを待っていました。 そして、なりそこない勇者・氷の国の氷河は、実は、早くもめげそうになっていました。 これまで、氷の国の氷河は、こんなにヒッチハイクに手間取ったことはありませんでした。 氷の国の氷河が小人たちとよその国におでかけする時には、1日に2、3台しか通らない車が、なぜか必ずすぐに来て、小人たちと氷の国の氷河を拾ってくれるのが常でした。 氷の国の氷河は、ヒッチハイクで車を拾うのに5分以上待ったことなんかなかったのです。 その幸運はもちろん、氷の国の小人たちが運命の神様に溺愛されているからだったのですが、氷の国の氷河を愛してくれている神様は、なにしろ、哀れの神様と不運の神様だけ。 ヒッチハイクがうまくいかないのも当然です。 ただ風が通りすぎていくだけの道の傍らで、ぼけら〜☆ と、車が通るのを待つこと半日。 半日、ただ、ぼけら〜☆ です。 さすがの哀れの神様も、氷の国の氷河のその哀れさには根負けしてしまったようでした。 どこまでもまっすぐに、地平線の彼方まで続く氷の国の一本道。 空と大地を分けるその地平線の彼方に、ついに! やっと! 一台の大型トラックが姿を現したのです――! |