氷の国の氷河とミロが、合体瞬とアルゴルの後を追ってエメラルドの湖に向かった頃、合体瞬はアルゴルの漕ぐボートに乗ってエメラルドの湖の上にいました。

「透き通った緑の水も、森の木も、きらきら輝いてとっても綺麗」
「どうだ? 石の国は気に入ったか?」
「はい、とっても。さっきご馳走してもらったお菓子もすごく美味しかったし、町も公園も森も綺麗な石で飾られてて、氷河に見せたら、きっと喜ぶだろうなぁ」

「……そうか」
合体瞬の口から氷の国の氷河の名前が出るのを聞いて、アルゴルは内心ムッとしました。
が、彼は努めて平静を装い続けました。

氷の国の氷河のようなボロゾーキン男が自分のライバルになり得るなんて、アルゴルは毛ほどにも考えてもいなかったのです。
アルゴルは、氷の国の氷河のことなど気にする方がバカだとすら、思っていました。


ところで、瞬が合体状態でいたのには、ちゃんとした理由がありました。

石の国は、氷の国と違ってとても広くて、大きな建物もいっぱい。
そんなところで迷子になったら大変ですし、氷の国の氷河も、小人たちを捜すよりは、合体瞬を捜す方が楽なはず。

ですから、瞬(=小人たち)は、ずっと合体したままでいたのです。

氷の国の氷河にすら、アルゴルの屋敷がまるで有明ビッグサイトくらいに見える石の国ですからね。
小人たちにとっては、石の国の建築物はどれも、とんでもない大きさに感じられていたのです。






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