サファイアの時計台のからくり仕掛けが動き始めてから5分以上の時間が経った頃。
石の国の限りなく黄金に近い白銀の勇者アルゴルと、黄金の勇者ミロは、自分たちが、合体瞬がいたはずの空間を巡って、まるで無意味な闘いを続けていたことに気付きました。

(し……しまったーっっ!)
(なんてことだっ、あんな刺繍男にこの俺が遅れをとるとはっ!)
──と慌てても、後の祭り。
世の中、強い男だけが勝つようにはできていないのです。

しかし、強い男たちは、強さゆえのプライドのため、己れの負けを認めようとはしません。

(ふん。所詮、噂は噂にすぎん。サファイアの時計台のからくり仕掛けを見たことのない幸せなカップルも、この世には五万といる)
(あの可愛子ちゃんも、石の国の黄金の勇者であるこの俺が本気でせまったら、イチコロ(←死語)に決まっているぞ!)


石の国の二人の勇者たちは、固い決意を胸に抱いて、氷の国からやってきた二人をじっと見詰めました。


その時です!
限りなく黄金に近い白銀の勇者アルゴルは、今更ながらに叫んだのでした。
「ミロ! どうしてあなたがここに !? 」

もしかしたら、石の国の勇者たちは、身体は光速で動けても、アタマの方はそれについていけていないのかもしれません。


ともあれ、ついに再会を果たした氷の国の氷河と合体瞬、そして、二人の勇者たち。
合体瞬をめぐる三つ巴の闘いの火蓋は、今、切って落とされたのです――!






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