さて、瞬ちゃんズは、とても人気のあるサークルのようでした。 瞬ちゃんズの売っている本の表紙には、とても可愛い『瞬ちゃん』の絵が描いてあって、本のタイトルは『僕たちの ひ・み・つ』だの『ないしょにしてね』だのと書かれています。 老若男女を問わず、ひっきりなしにやってくるお客さんたちは、瞬ちゃんズの、 「どうもありがとうございました!」 の声と笑顔とに、ぼ〜☆となって帰っていきます。 小人たちはその様子を、これまた、ぼ〜☆ として眺めていました。 こんなふうにたくさんの人に自分たちの作った本を読んでもらえたら、どんなにいいでしょう。 けれど、瞬ちゃんズサークルのスペースにはお客さんがたくさん来るのに、小人たちのスペースには誰も来てくれません。 小人たちの作った本を買ってくれる人はおろか、手に取ってくれる人すらいませんでした。 小人たちの小さな胸は、それでまたまた不安でいっぱいになってきてしまったのです。 もし、今日一日、自分たちの本を読んでくれる人が一人もいなかったらどうしよう――? それは、初めてコミケに参加する人なら誰もが考えてしまう最悪パターン。 コミケに参加する人は、誰もが期待と同じだけの不安を抱いて、イベント会場にやってくるのです。 |