瞬ちゃんズが初めて本を出そうとした時、それでも瞬ちゃんズは悩んだのです。
瞬ちゃんズは、自分の氷河が大好きでした。
大好きな人に秘密を持つのは嫌ですよね。


「でも、僕たちが、僕と氷河の本を出そうとしてることを知ったら、氷河たち、どう思うかなぁ……」
表面上はどうあれ、氷河たちが全員とても焼きもち焼きなことを知っているきゃわ瞬は、ちょっと困ったような顔をして肩をすくめました。

3人の中ではちょっと余裕のあるみしぇ瞬ちゃんが、茶化すように言います。
(1) 何とも思わない
(2) 意地で発行をやめさせる
(3) 面白がって、自分も読む
(4) それどころか、編集の手伝いまでする
(5) 本になるのなら、いー加減な夜は過ごせないと考えて、夜のお勤めに励みまくり、おかげでくたくたになった僕たちは入稿の締め切りに間に合わない
(6) そして、本は発行されない上に、僕たちは腰が痛い

……のどれだと思う?」


「僕の氷河は、(2)かしれない……。前にね、ちょっとだけえっちな落書きして、それを星矢に見せたことあるんだけど(参照 蜜蜂館さん発行『Cherry Bom』)、その時に、もうあんなの描いちゃダメって言われたもん」
ちょうど、手作りおやつをトレイに乗せてキッチンから運んできたたれたれ瞬ちゃんが、いちばん強硬な反対に合いそうでした。


「僕の氷河は、案外面白がるかもしれないけど、手伝ったりはしてくれないだろうなぁ」
みしぇ瞬ちゃんには余裕があると言っても、この程度のことです。
全面的な協力は、とても得られそうにありません。


「やっぱり、氷河には秘密で活動するしかないのかな」
「うん、それが無難かも」
「氷河、怒ると恐いもん。何されるかわからないもん、ベッドで……

最後のたれたれ瞬ちゃんのセリフは、おそらくノロケだったでしょう。


それはともかく、そういう訳で秘密裡に始まった瞬ちゃんズの活動は、活動開始後たった一ヶ月でサークル存続の危機を迎えることになったのです。