その日、
「わーん、氷河に原稿描いてるとこ見つかっちゃったー!」
――という、たれたれ瞬ちゃんからの連絡を受けたみしぇ瞬ちゃんときゃわ瞬は、急遽たれたれ瞬ちゃんの家に駆けつけました。

たれたれ氷河さんは、普段無口で、あまり感情を表に出さない分、迫力の人です。
もし、たれたれ瞬ちゃんがたれたれ氷河さんに叱られるようなことになったら、誰かがたれたれ瞬ちゃんを庇ってあげなければなりません。
それができるのは、瞬ちゃんズの仲間である自分たちしかいない! ――と、みしぇ瞬ちゃんときゃわ瞬は思ったのです。

慌てて、自宅を飛び出したみしぇ瞬ちゃんときゃわ瞬を、当然二人の氷河も追ってきて、たれたれさん宅には、瞬ちゃんズとその氷河たちが全員集合することになったのでした。


「たれたれ瞬ちゃん、大丈夫っ !? 」
「たれたれ氷河さん、怒ってるのっ !? 」

「わーん、みしぇ瞬ちゃん、きゃわ瞬ちゃーん !! 」
玄関に仲間の姿を見い出したたれたれ瞬ちゃんは、半べそ状態でみしぇ瞬ちゃんときゃわ瞬に泣きついてきました。

「たれたれ瞬ちゃん……」
これは、たれたれ氷河さんの怒りが生半可なものではないということなのでしょう。
たれたれ瞬ちゃんは、余程きつく叱られたに違いありません。

「いくら、たれたれ氷河さんだからって、たれたれ瞬ちゃんをこんなに泣かすなんてあんまりだよっ! 氷河、たれたれ氷河さんに一言言ってやってよ!」
「げ、俺がたれたれ氷河に?」
みしぇ瞬ちゃんの威勢のいい啖呵に、みしぇ氷河さんはたじたじです。


「たれたれ瞬ちゃん、かわいそう……。氷河、どうにかしてあげて?」
「う……」
きゃわ瞬の方は、鮮やかな泣き落とし攻撃に出ました。



みしぇ氷河さんは、みしぇ瞬ちゃんの命令に逆らいたくありませんでした。
きゃわ氷河も、きゃわ瞬の哀願を邪険にしたくはありませんでした。


しかし、二人がそうするには大きな問題が2つあったのです。

その第1は、相手がたれたれ氷河さんだということです。
たれたれ氷河さんは、氷瞬界屈指の“幸せな氷河”です。
氷瞬界で幸せだということは、氷瞬界におけるたれたれ氷河さんの地位がそれだけ高いということでした。

問題点その2は、ここに来る道すがら聞かされた、瞬ちゃんズサークルの活動内容そのものです。
夜の生活暴露を主旨とする本の発行には、みしぇ氷河さんもきゃわ氷河も、諸手をあげて賛成することができそうになかったのです。


しかし、それでも愛する瞬の命令と哀願には逆らえません。
みしぇ氷河さんときゃわ氷河は、たれたれ氷河さんのいる部屋へと向かいました。


そこで二人の見たものは――!