氷の国の氷河は、自分の部屋で小人たちのぱんつを縫っていました。
そこに元気な掛け声と共に飛び込んできた小人たちに、氷の国の氷河はちょっとびっくり。

もう随分遅い時刻ですし、イベント後で疲れきっているはずの小人たちは、とっくに眠りについている頃だと、氷の国の氷河は思っていたのです。
「おまえたち、どうしたんだ。眠ってたんじゃなかったのか?」
「うん、僕たち、お勉強してたの」

氷の国の氷河は、小人たちを本ごと両手ですくいあげて、彼ご愛用の裁縫台の上に載せました。

「お勉強?」
「うん、これ、瞬ちゃんたちに貰ったご本なんだ」
「瞬ちゃんズに? それはよかったな。ちゃんとお礼は言ったのか?」
「うん、でも、このご本、とっても難しいの」
「なんだ、読めない漢字でもあったのか?」
「意味がちっともわからないの」

小人たちは、瞬ちゃんズから貰った本を、氷の国の氷河の前に押しやって、氷の国の氷河に頼んだのです。
「氷河、このご本を読んで、僕たちに意味を教えて」
「僕たち、おとなだから、難しいご本も読めるよって、瞬ちゃんたちに言っちゃったの」
「難しくてわかんなかったなんて、恥ずかしくて言えないの」
「今度瞬ちゃんたちに会う時には、ちゃんとした感想が言えるようになってなくちゃならないの」

「ははは。そうか、瞬ちゃんズの本は、おまえたちには難しすぎたか」
氷の国の氷河は微笑ってそう言いながら、瞬ちゃんズの本を手に取り、ページを開き、中を読んで―――――――硬直しました。

(こっ……これは…っっ !! )

そこに著されている文章と絵は、確かに、小人たちの教材としてはあまりにも難解に過ぎるものだったのです。

(き…きゃわ氷河がこんなことを……)
(あっ、みしぇ氷河っ、何てことを……!)
(こ…こんなことまでしてるのか、たれたれ氷河〜〜っっ !!!! )

瞬ちゃんズの本を持つ氷の国の氷河の手はぶるぶると震え、その手は今にも瞬ちゃんズの本を取り落としてしまいそうでした。

大ショックを受けてる氷の国の氷河に、小人たちは容赦なく追い討ちをかけてきます。
「ねえ、氷河。『@@にAAする』って、どういう意味?」
「『BBはCCする方がいい』って、どーゆーこと〜?」
「『もっとDDしてEEさせる』って何するの〜?」

「☆?●÷▽∞□刀氈~〜〜 !!!!!!!! 」

氷の国の氷河は、できることなら、たった今、この場で、泡でも吹いてブッ倒れてしまいたい気分でした。