秘密はバレるためにあるものです。


「おまえたち、最近長風呂すぎないか? 昨日なんか、3時間も風呂場から出てこなかったぞ?」

「ぎくっ」× 15

氷の国の氷河はとっても鈍感ですが、小人たちのことにだけは敏感です。
お風呂場で3時間過ごすこと自体は、実は小人たちにはよくあることだったのですが、それは氷の国の氷河と一緒にお風呂に入ってお風呂遊びに夢中になった時の話。
小人たちだけで入った時のお風呂タイムは(そんなことは滅多にありませんでしたけれどね)、長くてもせいぜい1時間くらいのものだったのです。

「たれたれ瞬ちゃんに迷惑をかけてるんじゃないか? 波を作ってくれだの、海坊主の役をやってくれだの」

「そそそそそんなことしてないよ」
「ぼぼぼぼ僕たち、綺麗好きなの」
「たれたれ瞬ちゃんも、お風呂好きなんだって」
「たれたれ氷河さんのために、綺麗にしてるんだって」

「……3時間もか?」
氷の国の氷河は、疑わしげです。
氷の国の氷河に疑われるなんて、これまでほとんど経験したことのなかった小人たちは内心大慌て。

「そそそそそーだよ」
「ぼぼぼぼ僕たち、お風呂場でアイスクリームなんか食べてないもん」
「ぷぷぷぷプリンも食べてないもん」

いつも本音で直球勝負の小人たちは、嘘をつくのがとても下手でしたが、氷の国の氷河はその嘘を見破れるほどの切れ者でもありませんでした。

「ならいいが……」

(ほっ☆)× 15

これで、更なる追求を始めないところが、氷の国の氷河のいいところ(?)です。
小人たちは、揃って安堵の息を洩らしたのでした。