「おーっほっほっほっほっ! この私が、小人さんたちを私だけのものにするための要求を取り下げるとでも思っているの !? この弁護人は頭がおかしいわ」 atenasaori_ojyoはそう言って、弁護人カミュの弁論を嘲笑いました。 「氷の国側の弁護人は、氷の国の氷河が便所コーロギでないことを証明し、atenasaori_ojyoの言動が名誉毀損に当たるかどうかを争う意思はないのですか」 公判がこんな展開になるとは思っていなかったジークフリート裁判長も、少々困惑気味です。 しかし、弁護人カミュの態度は実にクールなものでした。 「私はそんな無駄なことはせん」 「というと?」 ジークフリート裁判長に尋ねられた弁護人カミュがatenasaori_ojyoに向き直ります。 「atenasaori_ojyo、あなたは自分の命が惜しいか」 「命あればこそ、小人さんたちとのハッピーライフを楽しめるんですもの、当然でしょう」 きっぱりと断言するatenasaori_ojyoに、小人たちは当然『異議あり!』です。 「僕たちのハッピーライフは、僕たちの氷河と一緒にいることだもん」 「僕たちの氷河のぱんつとたれたれ瞬ちゃんのケーキがなかったら、ハッピーなんてどこにもないもん」 「そーだ、そーだ !! 」× 15 小人たちの訴えは実に正当なものでしたが、ここは法廷。 発言するには、裁判長の許可が要ります。 「小人さんたち、法廷では私語は謹んでね。氷の国側弁護人、弁論を続けてください」 「小人たちは世界のアイドルだ。あなたは、その世界のアイドルを独り占めしようとしている」 「おーっほっほっほっほっほっ! 小人さんたちは、私と一緒にいる方が幸せになれるわ! あんなしょぼい男より、私の方が小人さんたちにうんと贅沢をさせてあげられるんですもの!」 「ねえ、ぜいたくって、どんなことかしら」 「ダイヤモンドでできたぱんつを穿かされるとかじゃない?」 「えー、そんなの、いやだー」 「僕だっていやだよー」 「そんなの絶対穿きたくないよねー!」× 15 「静粛に! 小人さんたち、法廷では私語は謹んでね。氷の国側弁護人、弁論を続けてください」 「世界のアイドルを独り占めする危険をあなたはわかっていない。それは、世界中の小人さんフリークを敵にまわすことなのだ」 「え? それはどういうこと?」 弁護人カミュの言葉の意味を理解しかねたatenasaori_ojyoが、彼に尋ね返したその時です! ズダーン☆ という鋭い音が法の庭に響き渡り、一発の銃弾がatenasaori_ojyoの頬を掠めたのです! 小人たちも、氷の国の氷河も、ジークフリート裁判長も、たれたれ瞬ちゃんや氷の国の森の仲間たちも、突然の出来事にびっくり仰天でしたが、弁護人カミュは涼しい顔。 「おお、早速、嫉妬に狂った小人さんフリークたちが暗殺計画の実行を開始したようだな」 「あ…暗殺ですって……?」 「そう、あなたは、自ら、自分の命を危険にさらしているのだ」 その時、今度は、atenasaori_ojyoの近くに手榴弾が投げ込まれて、炸裂。 atenasaori_ojyoは、片手でそれを防ぎました。 「何をバカなことを! それなら、どーして、あのしょぼい男は今まで暗殺されずにいたの !? 」 だだだだだだだだだっっっ !! と撃ち込まれてきた散弾銃攻撃を驚異的な跳躍力で回避しながら、atenasaori_ojyoが弁護人カミュに向かって叫びます。 弁護人カミュは、必死の形相のatenasaori_ojyoを見やりながら、クールに言いました。 「わかりきったことを……。それは、氷の国の氷河が便所コーロギだからに決まっているだろう。いくら世界のアイドルを独占しているからといって、便所コーロギに嫉妬する人間はいない」 上空から、atenasaori_ojyoめがけてミサイル投下。 atenasaori_ojyoは、背中の羽で、なんとかそれを防ぎきりました。 そして。 「そ……そんな……。そんな考えるまでもないことに、私としたことが気付かずにいたなんて……」 自分の計画の無謀さをやっと自覚したatenasaori_ojyoは、その場にがっくりと膝をついたのです。 そんなatenasaori_ojyoを冷ややかな目で見おろしながら、弁護人カミュは、抑揚のない声でatenasaori_ojyoに尋ねました。 「atenasaori_ojyo、あなたも小人さんフリークならわかるはずだ。氷の国の氷河以外の誰かが小人たちを独り占めしていたら、あなたならその相手をどうする?」 「もちろん! 私の全力をもって殺してやるわ!」 「その通り。つまりは、そういうことなのだ」 「…………」 atenasaori_ojyoは、弁護人カミュの言葉に沈黙しました。 いいえ、atenasaori_ojyoだけではありません。 弁護人カミュの鮮やかな弁論に、法廷内はしーんと静まりかえってしまったのです。 |