涙と感動と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛の『氷の国の宇宙人襲撃裁判顛末記』は、飛ぶように売れていました。 なにしろ、カバー折り返しについている券を3枚集めて応募すると小人さんたちのピアノ鍵盤が3名様に当たる懸賞付きです。 全世界の小人さんファンが最低3冊、その上保存用にもう1冊、もしもの時用にもう1冊くらいは買うのです。 氷の国の宇宙人襲撃裁判顛末記』は、本屋さんでは品切れ続出、やふぅショッピングも、紀伊国屋書店のネット販売も、ずっと『入荷時期未定』の大ベストセラーになりました。 その人気ときたら、聖書なんか目でもなければ屁でもありません。 小人たちの可愛らしさは、国を超え、宗教を超え、民族をも超えているのですから、それも当然のことだったでしょう。 涙と感動と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛と愛の『氷の国の宇宙人襲撃裁判顛末記』は、全世界90ヶ国で翻訳され、小人さんフリークはその全てを手にいれようと、これまた根性で頑張るのでした。 そこに突如湧いて出たサイン会の企画。 もちろんアイデアを出したのは9号です。 「サイン会をして、もっと儲けよう!」 「え?」 9号がそう言い出した時、氷の国の氷河は激しく嫌な予感に見舞われました。 そして、氷の国の小人たちは、 「わーい、サイン会だー !! 」× 14 と、喜びの声をあげました。 「そんなことしなくたって、本は売れ続けてるじゃないか。だいいち、サイン会をして売るような本なんて……ぎく★」 また、徹夜で数万部も刷るのかと思って、氷の国の氷河の嫌な予感は倍増しになりました。 「大丈夫、本は15冊もあればいい」 「サイン会をして、たった15冊売っても割に合わないじゃないか……ぎく★」 サイン本を定価の何万倍もの値段で売るのかと思った氷の国の氷河の嫌な予感は、3倍増しです。 「大丈夫だよ、任せておいて。氷河にそんなに無理はさせないから。氷河はお金を産む金の白鳥だもの。氷河を死なせるわけにはいかないよ」 そう言われても、氷の国の氷河としては安心できるものではありません。 なにしろ9号の金儲けの方法ときたら、小市民な氷の国の氷河の想像の域を、いつもはるかに超えまくっていましたから。 「本の値段は……?」 「え? もちろん、定価で売るよ?」 「そ…そうか、それならいい。あんまり悪どい手で稼ぐのは、感心しないからな」 「大丈夫。お客さんに損をさせる気はないよ。本は定価、入場料はコミケ参加費と同じにする」 「それでも高くないか?」 「それだけ楽しませてあげるもーん」 9号は自信満々、氷の国の氷河はクエスチョンマークの羅列。 どっちにしても、9号に引きずられるだけの氷の国の氷河なのでした。 |