そうしてやってきました、サイン会当日。

場所は有明、ビッグサイト特設会場。
参加人数はコミケの数千倍。

蝶ネクタイをした氷の国の氷河は、今日はサイン会の司会進行役です。

「頑張ってね、氷河」
「わー、ピンクの蝶ネクタイ、カッコいいー」
小人たちにおだてられ、励まされた氷の国の氷河の今日の出立ちは、ほとんど場末のコメディアンでした。

「そ……そうか……?」
氷の国の氷河は、ピンクの蝶ネクタイなんて、ほんとはすごく恥ずかしかったのですが、小人たちが気に入っているものを外すわけにもいきません。

「うん、カッコいい!」
「う…うむ……。しかし、俺に務まるのか、サイン会の司会進行役なんて」

「大丈夫だよー !! 」
「うん、氷河なら大丈夫!」
「心配ないよ、氷河〜v」× 15

「う……うむ……」

「頑張ってね、氷河! 僕が手配した屋台やキャラクターグッズ売り場は、サイン会開始前から、もううはうはのがばがばだよ!」
さすがに、入場料だけで満足する9号ではありません。

それもこれも何もかも、すべては小人たちの愛なのだと信じて、氷の国の氷河は館内放送のマイクを握りしめたのでした。