「え !? 」

考えてもいなかったおじさんの言葉に、ショックを受けたのは9号です。

「そ……そんな……」
9号は、おじさんの言葉を聞いて、じわりと涙ぐんでしまいました。

「きゅ…9号ちゃん……?」

「ぼ……僕、おじさんたちに馬鹿にされちゃいけないと思って、夕べ一生懸命、商談の練習したのに……」
「れ…練習……?」

「9号……そうだったの……」 × 14
おじさんたちを恐がって、9号の後ろに隠れていた小人たちは、涙ぐんでいる9号を見て、全員が泣きそうな顔になりました。

「右下から斜め45度の角度で睨みつけると、凄みが増すからって、何度も斜めに睨む練習もしたのに……」
「9号、それで夕べ眠らなかったんだね……」

「僕たちの氷河のぱんつ企画を安売りしちゃったら、氷河に合わせる顔がないって思って、い…一生懸命、頑張ったのに〜っっっ !!!!!! 」

「9号〜っっっ !!!! 」 × 14

小人たちは、もうおじさんを恐がっているどころではありませんでした。
小人たちは、泣いている仲間の許に走り寄っていって、その肩を抱きしめてあげなければならなかったのです。

「あーん、あーん、あーん !! 」 × 17 (←ポインツ)

「きゅ……9号ちゃん、そうだったのか……」
小人たちの涙は、計算高い営業マンであるはずのおじさんたちにまで、涙を誘うものでした。

「ぼ…僕、とってもとっても頑張ったの……」

小さくしゃくりあげる9号に、おじさんたちは涙を拭き拭き頷きました。
「うんうん。そうだねぇ、頑張ったねぇ」

「でも、ポッキーもらえないの? しくしく」
「そんなことはない! おじさんが9号ちゃんのために、重役たちを説得するさ! 契約金3億円とプリッツとポッキーとコロンを9号ちゃんたちにあげてくださいって」

「ほんと……?」

涙で濡れたつぶらな瞳で9号に見詰められたおじさんたちは、小人たちの前で胸を叩いて断言しました。

「おじさんたちに任せなさい !! 」

おじさんたちは、すっかり“可愛くて健気な9号ちゃん”のとりこになっていました。






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