ピンク : 氷の国の小人たち 1〜8号・10〜15号ちゃん
オレンジ色 : 9号ちゃん
: 氷の国の氷河
: プルーストさん 心の声



Q20 一番好きな色は?



「好きな色かぁ……。僕は、クリーム色かなぁ。やわらかくて優しい色で、うっとりするもん」
「僕は、チョコレート色! 甘々〜」
「スポンジ色! ふわふわ〜」
「蜂蜜色! とろとろ〜」
「いちご色、あむあむ」
「バナナ色、ぱくぱく」
「オレンジー! ぱっくん」
「お砂糖がけのレモン色、甘くて、すっぱーい」
「キャラメル色、もぎゅもぎゅ」
「僕は、桃色だーい好き!」
「ブドウ色! デラウェアの紫も、巨峰の黒も、甲斐路の黄緑色も好き!」
「ココア色もいいよ、この季節にぴったりで!」
「僕は、かぼちゃ色が好きだなぁ」
「なんったって焼きイモ色だよ、ほくほくの!」

「ふっ、甘いね」
「うん、甘い色、大好き〜」
「僕も僕も〜vv」

「そーじゃなくって、厳しさが足りないって意味の『甘い』だよ」
「え? そんなのが、この質問の答えに必要なのー!?」
「もちろんさ。この質問の意味の深さを理解しないで、この質問に答えちゃダメだよ」
「この質問、深いの?」
「氷の森の底なしオパール沼より深いよ」
「そうかなぁ……?」

「じゃあ、9号は何色が好きなの?」
「そんなの決まってるじゃない! もちろん、金色さ!」
「あふうぅぅん……(←感心しつつ、あまりにも想像通りの答えなので、少し気が抜けている」× 14
「その、気のない反応は何なわけ?(←ちょっと不機嫌)」

「あ、でも、僕も金色って好きだよ。氷河の髪の毛の色だもん」
「あ、僕も僕も! きらきらしてて綺麗だよね、氷河の髪」
「金色は、金の延べ棒の色だよ! 氷河の髪なんて、いくらきらきらしてても、お金にならないから、お菓子工場の設備環境の充実にも、お菓子職人さんの待遇改善にも、お菓子の品質向上向にも役に立たないじゃない! ……いや、待てよ……」

「どうかしたの?」
「うん……。僕、こないだ、アメリカの南北戦争の本を読んでたんだけどね」
「わぁ、相変わらず、難しい本 読んでるんだね」
「ふっ、まあね。うん、それでね、その本の中にジョーっていう金髪の女の子が出てきて、戦争に行っちゃったお父さんのために、自分の髪を切って売ってお金を作るシーンがあるんだ(←『カルピス名作劇場『愛の若草物語・フィルムストーリー』を読んだ)」

「ええっ、かわいそう〜っっ!」
「そんなのひどい〜」
「そ……それで、そのジョーって女の子はハゲになっちゃったの?」
「それは忘れたけど、つまり、氷河の金髪はお金になるんだ!!(←ものすごく嬉しそう)」

「9号……まさか……」
「ふっふっふっ。そのまさかさ」

「ぼっ僕、絶対はんたーい! 氷河がハゲになるなんてやだーっ」
「僕だってやだ! あんなに綺麗な髪なのにっ!」
「はんたい、はんたい、絶対はんたーい!」× 14

「みんなのばかっ!」
「きゅ……9号……。そんな……ばかだなんて、ひどい……」
「ばかだから、ばかって言ったんだよ!  みんなは、氷河の髪が綺麗だから、氷河を好きなのっ!? そうじゃないでしょっ!」
「そ……それは……」× 14

「僕たちは、氷河が、とっても優しくて、いつも一生懸命で、お掃除がうまくて、ご飯やおやつや綺麗なお洋服や穿き心地のいいぱんつを作ってくれるから好きなんでしょ! 僕たちが好きなのは、氷河の外見なんかじゃないはずだよ!」
「そ……そうだけどぉ……」× 14

「僕たちの氷河は、氷の国の平和と、お菓子工場の設備環境の充実と、お菓子職人さんの待遇改善と、お菓子の品質向上委員会の設立資金調達のために、喜んで、あの綺麗な髪を切ってくれるよ! 僕は、氷河を信じてる! だって、僕たちの氷河はこれまでいつも、自分を犠牲にして、僕たちの幸せのために頑張ってきてくれたもの……! 氷河は……僕たちの氷河は……!(じわ……)」
「きゅ……9号……」

「9号、ごめんね……! 僕たちが悪かったよぉー!」
「僕たち、僕たちのためになら、氷河は髪だって何だって切ってくれるって、知ってたのに……!」
「あーん、あーん、あーん!!」× 14

「み……みんな……わかってくれたんだね……」
「うん。ごめんね、9号。これから、氷河のとこに、髪を切ってもらいに行こう!」
「うん。そうしよう! お菓子工場の設備環境の充実と、お菓子職人さんの待遇改善と、お菓子の品質向上委員会の設立資金調達のためだもの、氷河はきっと喜んで……う…(←でも、やっぱり、氷河がハゲになるのは悲しい)」

「涙を拭いてよ、みんな。さあ、笑顔になって、氷河の髪を切りに行こう!」
「おーっっ!!」× 15


(……………………………………)(←プルーストさん)
「……………………………………」(←氷の国の氷河)


〜 10分経過 〜


(あ、ところで、氷の国の氷河はんは何色が好きなんやろか?)

……………………………………」(←真っ白に燃え尽きている)

(そーか、白でっか。うん、そーやろな……)(←他に言葉もない)


はたして、氷の国のお菓子工場の設備環境の充実とお菓子職人さんの待遇改善とお菓子の品質向上委員会の設立事業は、無事達成されるのでしょうか?
氷の国の氷河には、ひたすら強く生きていってほしいと願うプルーストさんでありました……。