夢のポケット




氷の国の小人たちは、お昼ご飯と三時のおやつの間にお昼寝をすることになっています。
けれど、小人たちはお昼寝の時間も遊んでいたがるので、氷の国の氷河は、毎日、小人たちを寝かしつけるのに苦労していました。



「氷河はお昼寝しないの?」
「氷河もお昼寝するなら、僕たちもお昼寝するー」
「氷河も一緒に寝ようよぉ」

そのセリフを合体した瞬に言われたいー !!  と、氷の国の氷河は、今日も苦悶しまくりです。
でも、氷の国の氷河は大人ですから、内心の苦悩をひた隠して、小人たちに言うのでした。

「俺は大人だから、お昼寝はしなくていいんだ」
「僕たちもおとなだもん。だから、お昼寝しないで、氷河と遊んでるー」

小人たちも、口だけは一丁前です。
合体さえすれば、いつでも大人の瞬になれるという意識が、小人たちにはあるのかもしれません。

「大人は遊ばないんだ。おまえたちは遊んでいたいんだろう? だから、おまえたちはまだまだ子供で、子供はお昼寝するもんなんだよ」
「氷河は、僕たちのこと、子供だと思ってるの?」
「え?」

ずらりと並んだ小人たちに、切なそうな眼差しでじーっ☆ と見詰められて、氷の国の氷河はちょっとたじろいでしまいました。

「氷河はおとなで、僕たちはこどもで、だから、氷河と僕たちは違うものなの?」
「そ……そういうわけでは……」

――と、その口ごもりが命取り。
言葉に詰まった氷の国の氷河とは逆に、小人たちは俄然勢いづいてしまいました。

「なら、氷河も一緒に遊ぼうっ !! 」
「そうだよ、スキンシップって大切なんだよ!」
「わーい !!  氷河と遊ぶぞー !! 」

「…………」

こうなると、氷の国の氷河は、小人たちには到底勝てません。






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