暗い納戸の奥に、小人さんの姿が消えてしまってから少し経った頃。
消えた小人さんの仲間たちが、そろそろ異変に気付き始めていました。

「ね〜、1号はまだ帰ってこないの?」
「遅いね。道草食ってるのかな」
「僕、ちょっと探してくるよ」
「うん、頼むね」
というわけで、姿が見えなくなってしまった1号の聞き込み調査に出た4号。

半時の後、帰ってきた4号の報告は、
「1号はとっくに帰ってきてるみたいなんだよ。3軒先の小間物屋の三毛が、お店に入っていく1号を見かけたって」
というものでした。

そこに通りかかった6号が、3軒先の小間物屋の三毛の証言を裏打ちします。
「あれ? みんなどうしたの?」
「1号がお使いに行ったっきり、いなくなっちゃったんだ」
「1号なら、さっき僕がお店の前にお水まいてる時に帰ってきたよ」
「それほんと?」
「うん。いいものもらったから、あとでみんなで食べようねって言ってたよ」

6号の証言に、他の小人たちは突如色めき立ちました。
「いいものってなんだろう?」
「いいものって言うからには美味しいものだよ、きっと」
「ああ〜、気になる〜! 1号ったら、どこへ行っちゃったんだろ」
「お店に帰ってきてることは確かみたいだから、手分けして店内の捜索をしよう」
「なんとしても、1号と“いいもの”を見つけるぞ!」
「おお〜っ!」× 14

──というわけで、小人たちは、元気良く えいえいおーをして、1号捜索大作戦を開始したのです。







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