「なにっ、この店は女性同伴でないと入れないというのかっ !? 」
「高野フルーツパーラーのバイキングじゃあるまいし、それは性差別ではないかっ!」
いったい、どういう日本文化研究をしているのかはわかりませんが、ミロ医学者は変なところで事情通のようです。

「おじさ〜ん。かすていらは〜?」× 15
お店の入口まで来ていながら、いつまで経っても店内に入ろうとしないカミュ物理学者とミロ医学者の肩の上で、小人たちはそろそろ焦れ始めていました。

「ああ、すまないな。この店は可愛子ちゃん同伴でないと、男は入れてもらえないらしい。かすていらは我慢してくれ」
「僕たち、可愛いよ〜?」× 15
「あー、まあ、それは、あえて否定はしないが、いわゆる普通の人間サイズの可愛子ちゃんじゃないと駄目なんだ」

「えええええ〜っっ !? 」× 15
はるばる長崎までやって来たというのに、かすていらを食べることができなかったら、死んでも死にきれません。
小人たちは、頭を突き合せて、この窮地を逃れる算段を始めました。

「やっぱり、それしかないかな〜」
「うん、それしかないかもね〜」
「お金払うのは氷河じゃないんだし、それでもいいんじゃない?」
「仕方ないよね〜」

かすていらのためには、それも仕方ありません。
小人たちは、ついに! ついにその決意をしたのでした。

「おじさーん」× 15
「ん? 諦めがついたか?」
『諦め』などという言葉は、小人たちの辞書には載っていません。
小人たちは辞書を持っていませんでしたからね。

辞書を持っていないせいではありませんでしたけれど、諦めるということを知らない花のお江戸の小人たち。
「これならどぅお〜??(ぴかーっっ☆)」× 1
小人たちが、カミュ物理学者とミロ医学者に確認の言葉を告げると同時に、かすていら食べ放題のお店の前に、まばゆい閃光が走り、その光が消えた時!

「おおおおおおおお〜っっ !!!! 」× 2

そこにいたのは、花のお江戸の合体瞬だったのです!

「かっ……かわいこちゃ〜ん !! 」
これも、いわば、お約束です。
突如出現した合体瞬に、ミロ医学者は突然鼻の下を伸ばし、でれでれ状態。
財布の中身なんか、すっかりどうでもよくなってしまったのでした。







[次頁]