さて、一国の王様がいつまでも一人でいるわけにはいきません。
白雪瞬ちゃんのお父様は、まもなく、新しいお后様をお迎えになりました。

このお后様、なかなかな美人ではあったのですが、なまじ人より美しく生まれたために、その美しさに非常に固執しておりました。

毎日毎日、魔法の鏡に向かって、
「鏡よ、鏡よ、鏡さん。この世でいちばん美しいのはだぁれ?」
と、オウムのように繰り返すのです。

当然、鏡の方も、
「もちろん、それはお后様。あなたが世界でいちばん美しい」
と、九官鳥のように答えるのでした。


実に馬鹿げたことではありましたが、それでお后様はご満悦。
夫婦円満、国家安康。
ご満悦なお后様は、自分の美しさを引き立ててくれる、おてもやんな白雪瞬ちゃんにも優しいお母様でいてくれたのですから、他人が口をはさむことでもないでしょう。





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