都会から離れた場所は夜が早い。
その夜、星矢がその部屋のベッドに横になったのは、都会でならまだ宵の口と言って差し支えない時刻だった。

星矢がなかなか寝つけなかったのは、だが、いつもの就寝時刻より2時間も早くベッドに入ったせいではなかった。

使い慣れていない寝具と、二人の仲間の思いがけない変貌。
冷たい調度品と、重い空気。
星矢に安らかな就寝を誘うものは、そこには何ひとつ存在しなかったのである。

この館は――否、氷河と瞬は、何かがおかしい。
二人とも、星矢の見知っている二人ではなかった。
何か、どこかが変わってしまっていた。






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