おじいちゃん、おばあちゃんには、『可愛い孫』 お母さんには、『子供への天使願望を満たしてくれる愛らしい息子』 お父さんには、『今時、敬語を使いこなせる行儀のいい男の子』 会社員のお兄さんには、『下手な女のアイドルより清純派』 お姉さんには、『天使のような癒し系』 生徒・学生たちには、『何でも一生懸命頑張る奴』 児童たちには、『綺麗で優しいゲーノー人』 幼児たちには、『歌いやすい歌を歌ってくれる親切なおにーちゃん』 日本全国津々浦々、老若男女を問わないどころか、サルでも知ってるスーパーアイドル。 それが、『城戸瞬』だった。 アイドルらしく、程良く歌も下手、ダンスも中学生のお遊戯程度。 しかし、その笑顔には地球を5回破壊できるほどの威力があり、日本の芸能界情報がすぐ行き渡るアジア各国では、『非核三原則を破って、日本が開発した笑顔の核弾頭』とまで言われている。 デビュー以来、好感度NO.1タレントの地位を誰にも譲ったことのない、可憐な天使。 芸能界には全く興味のない氷河ですら、その名と顔は知っていた。 実は、発売毎に七、八百万枚は売れるその曲も、覚える気はないのにすっかり覚えてしまっていた。 もっとも、氷河は、その曲を聞くたびに、 「なんで児童合唱団の歌が売れるんだ?」 と、奇異に思ってはいたのだが。 |