「……嫌にならないのか おまえくらいの歳の子は、普通はもっと気楽に暮らしているもんじゃないのか」
「どんな人だって、みんな、それぞれの立場で様々なことを抱えているんだと思いますよ。学校でも、結構友達同士で色々あるものでしょう?」
「瞬は、学校には行っているのか」
「去年の秋に大学検定試験に合格しましたから、18歳になったら大学受験するつもりです」
「あんなに仕事をしていて、その上、検定試験のための勉強もしてたのか?」
「嫌いなことなら、どっちも頑張れませんね」

「…………」


決して金のためにスキャンダルを探ろうというのではなく、興味本位からプライベートなことを聞き出そうというのでもなく、完全に個人的に瞬のことを知りたくて、そして、心配で、氷河は瞬のちょっとした仕事の合間を見付けては、瞬に尋ね続けたのである。

そのたびに、瞬は、好きなことだから頑張れるのだと、だから氷河の心配は不要なのだと、氷河を安心させるための言葉しか返してくれなかった。





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