瞬が街に出ると、みんなが瞬を振り返る。 それは、いつものことである。 氷河が瞬と街を歩いていれば、よほどの近眼でもない限り、すれ違う誰もがその綺麗な二人連れに目をみはるのだ。 それは、瞬の可愛らしさが為せる技、そして、その横にいる男がいい男だからなのだと、氷河はこれまで信じてきた。 それは、決して氷河の自惚れではなく事実だったろう。 しかし、もしかしたら、『いい男』というのは、『化け物』と大して違わないものなのかもしれない。 並んで歩く瞬と氷河を振り向く街行く人々は、瞬とペットントンを振り返る。 いつもと全く同じように――。 「んーと、ペットントンが座れるような椅子のあるお店って、なかなかないね。公園に行こうか?」 「公園、行こう、瞬ちゃん」 認めたくない事実に打ちのめされている氷河を嘲笑うかのように、氷河のものであるはずの瞬の手は、しっかりとペットントンの手に専有されていた。 |