「な……なに? 今の?」 氷河がその場から姿を消して5分後、なんとか気を取り直した瞬は、表面上は星矢と紫龍に向かって、真情では自分自身に向かって――尋ねた。 しかし、問われた星矢や紫龍とて、その問いの正解がわかるはずもない。 「……俺に聞かれても……。紫龍、わかったか?」 「瞬を好きだと言っていたような気がするが……。もしかしたら違うかもしれないが、あれは愛の告白というやつでは……」 「………あれが?」 「…………」×3 誰にも、氷河の真意はわからなかった。 彼等にわかったのはただ、『氷河は無口でクールな男である』という認識が、どうやらとんでもない誤解だったことと、それまで一文節だけでの言葉使いしかできないのだと思っていた氷河が、単文どころか重文・複文まで使いこなせるほど日本語に堪能な人間だったということだけだった。 |