しかし――。 “無口でクールな”氷の聖闘士が饒舌聖闘士に豹変してからちょうど3日後。 豹変の日の宣言通り、突然氷河に唇を奪われる事態に直面するに及んで、瞬は、駄々っ子の母の余裕をもって構えてもいられなくなってしまったのである。 氷河は、それこそ悪戯坊主が自分の悪戯を誇るような目をして、あっけにとられている瞬に尋ねてきた。 「初めてか?」 驚きのあまり瞳を見開いたままの瞬がこくりと小さく頷くと、彼は、 「ならいい」 と、満足そうに微笑して、その場――またしても、星矢と紫龍のいるラウンジ――から立ち去っていった。 |