眼前で繰り広げられた、あまりに常識のないラブシーンを見て慌てたのは、当の瞬よりも星矢と紫龍の方だった。

「おおおおおい、瞬! いいいいい今のは、うううううう噂に聞くちゅちゅちゅちゅちゅうってやつじゃないのかっっ !?   ちゅちゅちゅちゅちゅうだけならまだしも、ひょひょひょひょ氷河の奴、たたたた確かこないだ、いいいいいい1週間以内におまえと、ねねねね寝るとか何とか言ってなかったか、しゅしゅしゅしゅ瞬っっ !!!! 」

「きききききき危険だ! やややややや奴は危険だぞ、瞬っ !! 」

星矢と紫龍のあまりの慌てぶりに、逆に瞬の方が落ち着いてくる。
「まさか。僕が嫌がったら、いくら氷河だってそんなことまではしないでしょう」

「いいいい今、しかし、たたたたたった今……!」

「大丈夫だよ、今のは、あんまり突然だったから、やめてとも何とも言えなかっただけなんだから」

瞬の様子が落ち着いているので、星矢たちも徐々に落ち着きを取り戻しはしたが、彼等の不安は、当然のことながら綺麗さっぱり払拭されることはなかった。

そして、彼等の不安は現実のものとなったのである。



豹変の日から1週間後の夕方、またしても星矢と紫龍のいるラウンジで、氷河は瞬に宣言した。

「今夜行くからな」

言った当人は至極あっさり。

聞きたくもなかったのに聞かされてしまった星矢と紫龍は、泡を吹いてその場に卒倒した。






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