瞬の死の報せが俺の許に届いたのは、それから二ヶ月後のことだった。

「居場所を探すのに手間取った。ひと月前に弟は死んだ。自分が死んだことを、氷河という名の金髪の男に必ず伝えろと、それが弟の遺言だった」

電話の主は、悲しみも怒りすらも通り過ぎてしまった後の――まるで古い彫像が声を発したらそんな声なのではないかと思えるような響きの声で、名も名乗らずにそれだけを告げ、電話を切った。






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