さてさて。
そのまた翌日の給食は、最初から波乱含みでした。

なにしろ、その日の給食のいちばんの注目メニューはミメルーク! だったのです。
ミルメークです!
日本中の小学生が泣いて喜ぶミルメークなのです!

その日は、瞬ちゃんのクラスのみんなが朝から浮かれていました。
もちろん、瞬ちゃんも浮き浮きです。

いつも通り、自分の教室には行かず、瞬ちゃんの教室に入ってきたロシアのお友達は、まるでこの世の春でもやってきたかのようなクラスの雰囲気に戸惑い気味。
そんなロシアのお友達に気付いた瞬ちゃんは、にこにこしながら今日の給食のメニューをロシアのお友達に教えてあげたのです。

「あのね、氷河! 今日の給食のメニューはミルメークなの。ミルメークなんだよ! 氷河、ミルメーク、知ってる?」

ロシアのお友達は、そんなにも瞬ちゃんを喜ばせるミルメークがどんなものなのか、全然知りませんでした。
ロシアには、そんなものはなかったのです(と思ってください〜)。

「あ、やっぱり知らないんだね。あのね、ミルメークって、コーヒー牛乳を作る甘い粉なの。白い牛乳に入れてかき混ぜると、普通のコーヒー牛乳なんかよりずーっと甘いコーヒー牛乳ができるんだ。とってもおいしいんだよ! みんな大好きなんだ」

「…………」

それが瞬ちゃんの言葉でなかったら、ロシアのお友達は、『普通のコーヒー牛乳より甘いコーヒー牛乳が飲みたいんなら、コーヒー牛乳に砂糖を入れればいいじゃないか』なんて思っていたかもしれません。

でも、瞬ちゃんがそう言うのなら、ミルメークとはとてもとても素晴らしいものなのでしょう。
そして、それは、瞬ちゃんをとてもとても喜ばせてあげられるものなのです。

そうと知ったロシアのお友達のすることは決まっていました。






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