さあ、嬉し恥ずかし給食の時間です。 ロシアのお友達は瞬ちゃんのクラスの全員に得意のガンつけをして、ミルメークをすべて奪い取ってしまいました。 みんなは、校長先生に、 『氷河くんはまだ日本に慣れていないので、親切にしてあげましょうね。失敗もするでしょうが暖かく見守ってあげましょう』 と言われていましたし、何よりロシアのお友達にぎろり★ と睨みつけられると、すっかり恐くなってしまって、瞬ちゃんのクラスのみんなはロシアのお友達に逆らえなかったのです。 みんなと給食を食べるために教室にやってきたアルビオレ先生は、みんなの大きな泣き声で、教室の空気が気流から嵐に変わっているのにびっくり仰天してしまいました。 「どうしたんだ、いったい」 驚いたアルビオレ先生が教室の中を見回すと、みんながわんわん泣いている中、泣いていない生徒が二人。 その二人とは、もちろん、クラス全員の分のミルメークを瞬ちゃんの机の上に置いて、瞬ちゃんからの『ありがとう』を待っているロシアのお友達と、山積みミルメークの前でもじもじしている瞬ちゃんです。 瞬ちゃんは、本当はロシアのお友達にこんなことをされて、とっても困っていました。 でも、瞬ちゃんは、自分がそんなふうに思っていることをロシアのお友達に言うことができなかったのです。 そんなことを言ったら、瞬ちゃんを喜ばせようとしてそんなことをしてくれたに違いないロシアのお友達を傷付けてしまうかもしれません。 瞬ちゃんは、絶対に、そんなことはしたくなかったのでした。 |