そんなことはあってはいけません。 ロシアのお友達が病気なのだと思った瞬ちゃんは、優しくロシアのお友達の背中を撫でてあげました。 「ね、落ち着いて。安静にしてようね。さあ、ベッドに横になって」 「…………」 ロシアのお友達は、瞬ちゃんの言う通りにしました。 ついでに、瞬ちゃんの手を引っ張って、瞬ちゃんもベッドの中に引き入れました。 ロシアのお友達が病気なのだと思っている瞬ちゃんは、ロシアのお友達に為されるままです。 「僕が一緒の方が落ち着くの? 一人はいやなの?」 看護婦さんのような口調で尋ねてくる瞬ちゃんを、ロシアのお友達はしっかりと抱きしめました。 もちろん、まだ小学校高学年ですから、今日はここまでです。 瞬ちゃんは、優しい看護婦さんのように、優しいマーマのようにロシアのお友達を抱きしめてあげました。 そうして二人は、しっかり固く抱き合って、朝までの時間を過ごしたのでした。 ドア越しに、二人の様子を窺っていたマーマがほっと安心したのは言うまでもありません。 「ふう、よかったわ。これでまた、瞬ちゃんは氷河と一緒に眠ってくれるわ」 安心して気が抜けたマーマは、そのまま廊下でぐーすかぴー。 問題は全然解決していないのですが、その夜だけは、瞬ちゃんも変な気持ちにならずに穏やかな夜を過ごすことができたのでした。 しかし、それは今夜だけのこと。 明日は、ロシアのお友達にどんな試練が待っているのでしょう。 ロシアのお友達はどうやって、その苦難を乗り越えていくのでしょう。 ロシアのお友達と瞬ちゃんの、小学校高学年はまだ始まったばかりなのです。 |