瞬ちゃんの日頃の行ない、一晩中ぎんぎんで眠れなかったロシアのお友達の寝ずのお祈り、『ロシアのお友達&瞬ちゃん支援同盟』の応援エール、何より2人の素晴らしい思い出作りに燃えるマーマの執念の甲斐あって、遠足当日はとてもいいお天気でした。 「瞬ちゃん、氷河、忘れ物はない? おべんととおやつ、ちゃんと持った?」 「はい。ちゃんとリュックに入ってます。マーマが作ってくれたおべんと、とっても可愛くて、僕、すっごく嬉しいの。こんな可愛いおべんと持って遠足行くのなんて初めてだもん。マーマ、ほんとにありがとう!」 「まあ、瞬ちゃん、お礼なんていいのよ。おべんとは、瞬ちゃんが氷河と仲良くしてくれるお礼だもの。瞬ちゃんが氷河と仲良くしてくれてる限り、毎年マーマが腕によりをかけて、可愛くておいしいおべんとを作ってあげるわ」 「僕、ずうっと氷河と仲良しでいます! でも……」 マーマのお弁当を入れたリュックを大切そうに抱きしめた瞬ちゃんが、その明るい笑顔を少しだけ曇らせます。 「でも? でも、どうかしたの? 瞬ちゃん?」 マーマは、ちょっと心配になりました。 マーマに尋ねられた瞬ちゃんは、それでマーマが気を悪くするのではないかと不安になったのか、少し遠慮がちな小さな声で、マーマに告げたのです。 「あの、でも、それはマーマがおべんと作ってくれるからじゃないの……。僕が氷河と一緒にいたいからなの」 「まああぁぁぁ !! 」 マーマは、もちろん、瞬ちゃんの言葉に気を悪くしたりなんかしませんでした。 恥ずかしそうにそう言う瞬ちゃんを見て、むしろ、マーマは大感激! 4時起きして、お弁当を作った甲斐があったというものです。 上機嫌のマーマの横で、ロシアのお友達も、瞬ちゃんの嬉しい言葉を噛みしめるように味わっていました。 |