2人がいつまで経っても出てこないので、諦めてしまったのでしょうか。
他の生徒たちを放っておくわけにもいかなかったのでしょう。
しばらくすると校庭のざわめきが消えて、みんなは――2年生も3年生も――遠足に出発してしまったようでした。

ロシアのお友達と瞬ちゃんが、恐る恐るロッカーの陰から出て、窓から外を見ると、校庭にはもう誰もいませんでした。


「みんな、行っちゃった……」

「…………」
寂しそうな瞬ちゃんの声が、ロシアのお友達には切なくて苦しくてたまりません。

「瞬、今から追いかければ間に合うかも……」
ロシアのお友達がそう言いかけると、瞬ちゃんはぷるぷると横に首を振りました。

「いいの。僕、氷河と一緒にいられれば、『小人さんの森彫刻高原』じゃなくて、学校の教室でも」
「瞬……」

ロシアのお友達は、自分への愛のために、あんなに楽しみにしていた遠足を諦めてしまった瞬ちゃんを何と言って慰めてあげたらいいのか、わかりませんでした。

どうして自分は3年生なのだろうと思うと、ロシアのお友達は、それが悔しくて悔しくてたまらなかったのです。






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